ありがとうちょうちょたち
6月の半ば頃、プランターのキャベツの葉についていたアオムシ2匹を家に持ち帰って育てておりました。
今までの荒川家でしたら、ささやかな作物を守るために鳥や蝶を見たらホウキを振り回して追い出し、アオムシを見たら問答無用で始末しておりましたが……。
子どもの教育のために虫を見逃して育てるようになるだなんて、なんだか夫もわたしも改心した人食い妖怪か何かのようだわね。
▼こんなかんじで追い回していた
捕まえたアオムシ2匹は、3分の1程度に切った2リットルペットボトルに水切りネットをかけ、キャベツの葉を入れてそれぞれ別部屋(別ボトル?)で観察しました。
モリモリとキャベツをよく食べた大きいほうの大ニャッキは6月14日に捕獲、27日に羽化して旅立っていきました。蛹になる直前に暴れているように見えたのは、蛹になる場所を探す「ワンダリング」という行動だったみたい。
ちなみにモンシロチョウは白しかないと思いきや、黄色いモンシロチョウでした。
(虫の画像なので、興味ある方のみクリックしてください)
小ニャッキは7月1日に羽化を始めましたが、羽化不全という残念な結果に。
わたしも今回幼虫を捕まえるまでまったく知らなかったのですが、モンシロチョウは幼虫に寄生するハチがいたりして、たとえば100個のモンシロチョウの卵があれば、無事羽化まで辿り着ける個体はたった2匹なのだそう。
小ニャッキの場合はもともと捕まえたときから葉っぱの食べもいまいち悪くて、蛹になっても透けて見える羽が1匹目と比べて黒っぽいのが気になっていましたが、羽化を始めても片方の羽が黒っぽくてしわしわで開けられず、蛹から体を出せませんでした。
それでも2日ほどは脱脂綿に含ませた砂糖水を飲んでがんばっていましたが、そのまま亡くなってしまいました。
こっこは「死ぬ=2度と動かなくなる」というところは理解しているようで、朝起きて動かなくなっていたちょうちょを見たとたん、何も言わず顔をこわばらせて、ひっくり返ったちょうちょを見つめていました。
それから、「死んでしまったちょうちょはお庭に埋めよう」という親の言葉に首を振って「てんとう虫のえさにするか」と、野生的な提案をしてきたのには驚きましたが……。
てんとう虫はちょうちょを食べないと思うけども、さすが2歳児。 七つ前は神の内とは言ったもので、まだ人間よりも獣とか自然に近い存在なのね。
こっこも、もうちょっと成長していろいろわかってくると、死を悼んだりできるようになるのかもしれません。
でも2歳のこっこが「死」を前にして、次なる命のための「えさにする」という考えに自ら至ったことが、その幼さゆえのシンプルな残酷さが大人には二度と手に入らない輝きのように見えて、なんとも眩しく思えました。もちろんてんとう虫のえさにはできないので、小ニャッキは親が埋めたのだが……。
ああ、野生って素晴らしいんだなとしみじみしましたが、冷静に考えるとこっこは野生動物じゃなくてうちの子だった。
その後はこっこにおねだりされて「蝶の一生フィギュア」なるおもちゃを買いまして(お店で「誰が買うんだろコレ」と思って見てたら……)、ちょうちょたちが見せてくれた成長の姿を反芻しています。
こっこがこの幼虫フィギュアを持ちながら絵本の「はらぺこあおむし」を読みたがるので、なんかリアルな世界観のはらぺこあおむしが楽しめます……
▼たまに不思議なものを売っているわ、フライングタイガー
それからまた庭のキャベツには3匹あおむしが住み着き、今度は捕まえずにそのまま観察していましたが、みんなでっぷり太って蛹になりそうなタイミングで忽然といなくなってしまいました。鳥に食べられたのか、どうなったのか。
こっこは「みんなちょうちょになったんだよ! 食べられてない!」と怒っていましたが、自然は厳しい。
奇跡的に羽化を見せてくれた大ニャッキも、がんばる姿を見せてくれた小ニャッキも、羽化までたどり着いた幸運な個体だったのだろうな。
こっこは外でちょうちょを見るたびに、「こっちゃんのちょうちょ、元気かな? こっちゃんバイバーイって飛んでたね。ニャッキさんは砂糖水がんばって飲んでたね」と、2匹のちょうちょと過ごした日々を思い出しているよう。
ちょうちょたちよ、ありがとう。
関係ないですが最近のこっこは夫に対してどういう感情なのか、「パパを排水溝に流す」とやたら言う
▼今年のイタリアンパセリは「硬くてまずくなっちゃったな」と思っていたら、わかっているのかアブラムシも来ない