あんまり聞き返すのも悪いと思って……
前回
トレッキングのあとは首都レイキャヴィークへ戻る帰路につきます。
わたしたち夫婦も周りのツアー客もみんなへとへとでしたが、容赦なく滝や観光名所も巡ります。
トレッキングのときは晴れていましたが、午後になるとすぐに日が陰ってきました。この少し曇った空と海の色がほんと大好きだわー。
玄武岩ごろごろの海岸にて自撮り夫婦
ツアー中3日間の昼食はパーキングエリアのカフェで。ハンバーガーやスープ、ラムロースト、アイスランド名物の「スキール(Skyr)」などなどを食べていました。
ランチプレートのお値段はスープも入れて5000円くらいだったか……。でも「こんな辺鄙な場所でよくぞ食料があるものだ」というかんじなので、値段には納得でした。味もおいしかったし!
スキールは水切りヨーグルトのような食感の乳製品で、アイスランドでは1000年も食されてきた伝統的な食べもの。ヨーグルトよりも高タンパクで栄養価が豊富、それなのに低脂肪でヘルシー。そしてわりとお腹にたまる。味はギリシャヨーグルトより甘みがあってクリーミーでマイルドなかんじです。分類的にはチーズなんですと。
イチゴ味。アイスランドでのランチ代が高くて必死にスキールを食べてお腹をふくらませていたわけではない……!
ホテルの朝食ビュッフェでも必ずスキールがあったので、わたしはここぞとばかりに毎朝ボウルに山盛り食べていました。ああ、またスキール食べたいなあ……と帰国後もたまに思い出していたら……。
なんとなんと、2019年からスキールが日本に上陸し、製造販売が始まるそうです! 楽しみー!
話は旅に戻ります。
車を走らせていると、ヒゲ兄ちゃんがあるものに気がついて車を止めました。夫がかっこつけている後ろで、ツアー客たちが何かに群がっています。
人懐こい馬たちが近くに寄ってきてくれたのでした。
アイスランド固有の馬「アイスランドホース」の特徴は、独特の走り方とフレンドリーなところ。天敵がいないので警戒心が薄いそうな。「撫でてけ撫でてけ」と頭をすり寄せて、ふわふわの毛並みを撫でさせてくれました。ぬくかった。
足が短くてお腹が出てるなんて、夫みたいでかわいいわ。
バイキングの入植の際に持ち込まれたと言われ、厳しいアイスランドの自然のなか人々を助けてきたアイスランドホース。1783年には8ヶ月間続いた噴火による被害でアイスランド全体の70%もの馬が死んでしまい、大地は溶岩で覆われ人間にとってもつらい時代を迎えたそう。このふわふわな馬はそんな困難のなかアイスランドの人々を暖め、生き残ってきた馬たちの子孫なのだろう……。図太そうなかんじはする
ということで、馬とのふれあいに心も少し冷えていた手も癒されました。
ヒゲ兄ちゃんは「あと他にも初日に行けなかった場所があって」とさらにどこかに案内してくれようとしていましたが、なんと21時発の飛行機で帰るというお客さんがいたため、それまでのまったりムードが一転して一気にスピードを上げてレイキャヴィークへ向かいました。
そのお客さんとはレイキャヴィークのバスセンターで19時頃に別れましたが、間に合ったんだろうか。
ツアー会社の連携が悪かったのか、そのお客さんが伝えていなかったのか、ヒゲ兄ちゃんはそのことを17時すぎにお客さんが言い出すまでまったく把握していなかったので、「え、21時のフライト!?」と慌てていました。
アイスランドの現地ツアー、やっぱりちょっと適当かもしれません……。
これから行く方はご注意を笑!!
さて、長いようであっという間だった2泊3日ツアーも終わり。
この日のレイキャヴィークでの宿泊先もアイスランド到着日と同じ「ホテルフロン」にしたので、それぞれの宿泊先で降りていくツアー客全員とお別れをして、バスを降りたのはわたしたちが一番最後でした。
初日はわたしたちがバスに最初に乗っていて、そこにトランクを抱えたツアー客たちがドキドキした面持ちで乗り込んでくるのを迎えて、そして最終日は「ありがとう、さようならー」とちょっとくたびれて満足げにぽろぽろと降りていくのを手を振り見送る……。
それが大好きな映画『永遠と1日』のバスのシーンみたいだなあと感慨深くて、頭のなかでずっとそのシーンの曲が。これはテッサロニキが舞台のギリシャ映画だけど。
アイスランドの寂然たる風景が好みの人はこのギリシャ映画も好きな気がする
わたしたちもヒゲ兄ちゃんと握手をしてレンタル品を返却してお別れ。
お礼を伝えると破顔一笑、ニコッと何か言ってくれましたが
やっぱり
声が小さくて聞こえなかった……笑。
たぶん兄ちゃんのことだから「次は夏に来たほうがいいよ」とか言ってたんだと思います。3日間ありがとうヒゲ兄ちゃん。クラスメイトとかだったら教室の隅でボソボソと音楽の話ができるような友人になれた気がする。
ホテルに荷物を下ろしたのは確か8時前くらい。夜ごはんはまたホテル隣接のレストランでササッと済ませて、この日も限界で泥のように眠りました。
バーやクラブに行ってみたりしたかったのに、夜遊びがまったくできないハードなこの旅。
次の日はいよいよヨーロッパ最大の温泉地ブルーラグーンに宿泊、その翌朝の飛行機で帰国するので観光できるのは実質最終日です!
つづく。