夫は1人称が「パパ」になるのが早かったです
娘が生まれたばかりの頃の思い出。
こっこがお腹のなかにいた頃は「ママだよ〜」と気軽に呼びかけていたのに、いざ出てきたこっこを前にするとなぜか、
「ママですよ」「ママはね」
と、自分の一人称を「ママ」にするのはなんだか気恥ずかしくて、なかなか慣れませんでした。
夫はそういう葛藤は感じなかったようで普通に「パパはねー」と一人称がパパになっていました。
なんというか、母親は出産時に「赤ちゃんかっわいい〜」と思える幸せホルモンが出るのに対して父親は赤ちゃんとのふれあいを通してホルモンを出すしかない(だからこそ生まれたばかりの赤ちゃんは父親に拒否されないため父親に似がち)。
そういうホルモンの都合で、父親は母親よりもゆっくりと「父親」であることを自覚していく、という話をむかしどこかで聞いていたので、夫については「父親の自覚がわたし(母親)より早いな」と、夫という人物への謎と尊敬が深まりました。
夫は逆にこっこがお腹にいるときは「パパですよ」と呼びかけるのをいちいち照れていたのですがね……。いざとなったら腹くくるのが早い性格なのでしょうか
さらにわたしが搾乳したおっぱいを哺乳瓶で湯煎にかけるときも、なんの抵抗もなく温度チェックの味見をしていたのも衝撃でした。
わたしは自分のおっぱいの味見には戸惑いがあって出来ていなかったので(自分の体の変化に心が完全にはついていかなかったというか……)、そういうわたしの葛藤や戸惑いを生物学的にも軽々と飛び越えていく夫が不気味すごいなあと思いました。本当に、夫は不思議です。
けっこうショックでした。夫は「妹が生まれたときに搾乳したやつ味見したし」といたって普通でした
そしてそして、おっぱいといえば。
こっこは現在2歳8ヶ月にして、もちろん「ぱい」と言ってくる回数は減りましたが完全に卒乳できていません。ヒー。
知り合いのママさんたちに「え〜っ、こっちゃんまだおっぱい飲んでるの?」と笑われても、こっこは平然と「うん、まだ卒乳はしないことにした」と開き直っています。
こっこは語彙とかわかりやすい部分の発達が早めなので外では「しっかりしてる」と褒められがちですが、「いや、この人は偉そうにいろいろ言ってるけどまだぱい吸ってますよ」と言うと「あらー、こっちゃんあかちゃーん!」と一気にその評価が失墜するのが笑える
わたしはもう、ここまで来たらこっこが納得いくまで付き合おうと思っていますが、やっぱり2歳を過ぎて卒乳できていないのは少数派でしょうし、それなりに母親の負担(主に脱水と禁酒)もあり、「まだうちもおっぱい飲んでるよ〜!」みたいに苦労を共感しあえる仲間が欲しいなあと思うときもあって。
いろいろ調べたときに見つけたのがこちらの「正解は一つじゃない 子育てする動物たち」という本。
うしろの絵本は本のなかで紹介されていたものです〜
こちらの本でオランウータンやゴリラの子どもは3〜4歳までおっぱいを飲んでいると知って、「まだおっぱい飲んでるの、うちだけじゃないんだ!」と大変励まされました。
仲間を見つけた! 確かに子育て中でちちのたれたオランウータンとかゴリラの体型にわたしも似てる!
内容は、ネコやサルやクマなどの動物から魚や鳥、アリに至るまで様々な生き物たちの子育てを、それぞれの専門家がヒトの子育てと対比したりしながら易しく解説しています。
動物によっていろいろな夫婦、家族の子育てスタイルがあって、身近な動物たちの新たな一面を知って「へーそうなんだ!」と感嘆の連続。
たとえば鳩はオスも「鳩ミルク」という栄養満点のミルク状物質を体で作って、雛に授乳できること。
マーモセットのオスは、メスがおめでた中に体重を増やすのと一緒に自分も体重を増やし、出産のときも助産師的役割を果たすほど育児に積極的なこと。これには我が家では「えっ、まるで夫じゃん……」と、マーモセットに大変シンパシーを感じました。
夫にも「マーモセットと夫は似ている」と伝えたら、「ぼくをマーモセットレベルのイクメンと評価してくれて嬉しい」と誇らしげにしていました。
あと夫に足りないものは鳩ミルク
ほかにも父親だけが子育てをするトゲウオの話ではエリックカールの「とうさんはタツノオトシゴ」の絵本を紹介していて、思いがけず楽しい絵本と出会うことができました。
書ききれないくらい楽しい話がたくさん。
ひとつひとつの話は10ページくらいなので、興味のあるテーマや生き物からサッと読めます。
さらに面白いポイントがありまして、執筆者はまさに育児に奮闘中の若い学者の方々なので、おまけページに”子育てエッセイ”としてご自分の子育て話を書いていらっしゃいます。
なるほどと思ったのが、学者さんは育休がとりづらいこと!! 保育園やら実家やらの家庭内外リソースをフルに使い、おんぶ紐でジャングルに行き……。並々ならぬ苦労が垣間見えます。
ということで、「産後すぐ仕事に復帰すること」に不安を感じてしまっているパパママにとっては、その点でも大いに励まされる内容なのではないかなと思います。
まさに子育ては、「正解は一つじゃない」。ぜひ働くママにもプレゼントしたい本です。
もちろん雑学好きの方や、ゴリラやオランウータンとママ友になりたい方にもおすすめ!
▼荒川区の図書館にもあります
▼トゲウオの研究者さんが紹介していた絵本。タツノオトシゴを主人公に、父親が育児を担当する生き物たちがたくさん登場する絵本です(トゲウオももちろん登場)。
透明なページに海藻が描いてあったり、きれいな絵本でこっこもお気に入り。パパとの絵本タイムにおすすめ!!
▼夫いわく、抱卵活動や毎回の検診に一緒に行っていたことがホルモンの分泌に良い効果があったんじゃないの、とのこと
▼出産のときも夫は助産師的にがんばってくれました
▼夫は「パパですよ」が言えなくて、お腹のこっこに話しかけるときはいつも「どうも、ぼくですよ」だった。なつかしいなあ