次回、「地球の裂け目で大疾走」へつづく
前回
ヒゲ兄ちゃん伝説
今回のツアーでガイド兼ドライバーとしてバスを運転してくれたのは、もっふりしたヒゲを蓄え、えんじ色のセーターを着こなすアイスランド人のお兄さん(そういえばアイスランド人の男性は若くてもヒゲをたっぷり蓄えている人が多かったように見えました。さすがバイキングの国)。
とにかく声がすごく小さくてテンションが低い彼。
朝、ツアー会社の受付のお姉さんにも「何!?」とか言われている
ツアー客が揃ってからも眉をしかめたままニコリともせず無言。
しかし突然思い切ったようにボソボソと何やら話し出したので、これから行く観光地についてとか、アイスランドの歴史でも話してくれているのかと思ったら
「……俺、朝弱いんだ……」。
朝に弱いし明るい性格じゃないから、運転中に声を出して話そうと思うと運転に集中出来なくて運転が不安だという話でした。それを聞いた各国から来たツアー客たちは一瞬の沈黙のあと、一丸となって「わかった、運転に集中して!」を連呼。
しかも喋ったら喋ったでまだ最初の観光名所にすら着いていないのに「次は夏に来て欲しい」とか言うし(それはツアー最終日の別れ際に言うことだろう……)。
夫もわたしも人見知りな性格で兄ちゃんのことをとやかく言えるような人間じゃないけど、この兄ちゃんよりはうまくガイドやれるんじゃないか、と思いました
ということで今回が初仕事だったんじゃないかなあと思われる不穏なヒゲ兄ちゃん率いるツアーとなった2泊3日の旅。
バスを見たときは「トレーラー大丈夫かな?」なんて思っていましたが、それよりもこの兄ちゃんが「大丈夫か」すぎで笑、その不安は的中。
さっそく最初に立ち寄った観光名所でツアー客に事件が降り掛かったのでした。
つづく。