まさかの花屋さんが花を発送していないという……
間が空いてしまいましたが、結婚式話の続き。
▼前回
楽しかった会食
お豆富料理に舌鼓
挙式後はタクシーで会食会場へ。
こちらでは全員平服の食事会にしました。
食事はうなぎ屋さんか、あと桜鍋屋さんも迷いましたが、ゲストが新幹線でとんぼ帰りしなきゃいけなかったりしたので鶯谷駅から歩いて3分ほどの根岸のお豆富料理屋さん「笹乃雪」の個室に。
赤い絨毯が敷き詰められた廊下はレトロな旅館のようで、玄関には半纏姿の下足番の方もいて、神前式のあとの食事会にはぴったりな雰囲気のお店です。
わたしたちの式の場合、身内以外のゲストはいないので生い立ちのムービーや余興などは特になく、「式、面白かったねぇ〜、豆富おいしいねぇ〜」と言いながらひたすら飲んで食べる、普通のお食事会になりました。
出てくるお料理は全てお豆富料理ですが、白和え、ごま豆腐、飛龍頭、湯葉、そして茶漬け(!)などなど一品一品個性が違って、お豆富というシンプルな食材の豊かな味と世界を楽しませてくれます。 焼き鳥やお刺身も追加できますが、お豆富だけでも充分ボリュームがあって、デザートのときにはみんなお腹パンパンになって呻いていました。
こちらは別の日に行ったランチの御膳(式当日の写真を撮り忘れた)
正岡子規がそのおいしさを歌に詠み、魯山人も1度に20〜30皿食べていたというお店の名物・絹ごし豆富で作られるあんかけ豆富は、上の写真のように2椀1組で供されます。
絹豆富はつるんと喉越し良く、ホカホカトロトロの醤油あんにちょこんと乗ったほんのり辛い練り辛子が溶けて、食べていくうちにお豆富の甘みも合わさるとなんともなんとも箸が進む味。ウヒョーッ!
ペロリと一瞬で平らげてしまい、本当はあと10皿ほどおかわりしたかったです。いや、嘘だ。あと30皿いける。毎日食べたい。ああ食べたい。
上野の宮様とは
あんかけ豆富を「大変美味しいからこれから2椀ずつ持ってくるように」と所望した『上野の宮様』とは、このお豆富屋さんの初代を京都から連れてきた公弁法親王(こうべんほっしんのう)のこと。
寛永の時代、江戸幕府は京都の朝廷や寺社に対する政策として、皇族が下向して上野の寛永寺にて天台宗の貫主の座に就くことを求めました。
その代々の貫主さまを江戸の庶民は『上野の宮様』と親しみを込めて呼んでいたそう。
公弁法親王は元禄の時代に下向。なんだか幕府と朝廷のいろんな政治的思惑に挟まれて大変だったと思いますが、そこで供に連れてきたのが豆腐職人というのが、さすが都人。
「笹乃雪」というお店の屋号も、こちらの宮様がお店の豆富を評した「笹の葉につもりし雪のごとき」という言葉からとのことです。
これは夫が作った妙な雪だるま
ほかにもこちらの宮様は上野の鶯の鳴き方が気に食わなくて京都からわざわざ美声で早鳴きの鶯を運んで放したり(これで「鶯谷」の地名や「谷中初音」の由来になったとか)、根岸名物のこごめ大福を名付けたり、美食家で美意識の高い方だったようです。素晴らしい。
詳しくはwikiにて。
ということで、もし近隣にお住まいで、親戚が集まる食事会などがある方は「笹乃雪」おすすめです。歴史の話や文豪の話に花が咲くこと間違いなし。そしてなにより駅近便利!
花が来ない!!
お豆富料理に舌鼓を打ち、宴もたけなわ。
会食の終わりに、両親たちへサプライズの花束をプレゼントして感謝の気持ちを伝え、美しく感動的に式の日をフィニッシュするつもりが、
花束が……届かない。
花は午前着でお店の受付に預かっていただく予定でしたが、わたしたちが到着したときは12時を過ぎていたものの、まだお店には届いていませんでした。
食事中に何度か中座して配送業者さんのカスタマーセンターに電話をかけてみましたが、休日だったので全然繋がらず。
まぁでも来るよね……さすがにね……なんて思っていたら、そうこうしているうちにデザートまで食べ終わってしまって、会食もダレた雰囲気に。
つらい
花を注文したときに花屋さんに最初に言われた「配送が心配でしたら配送業者に連絡してくだすぁい」という言葉を無視して、花屋さんに直接確認の電話をしておけばよかった……!
じつは式の前日の夜に配送業者さんに連絡はしていたものの、「夜に発送された品物は追跡番号がまだ登録されていない」ということで確認できず、まあ大丈夫だろうと式当日の朝はバタバタしていて連絡していなかったのでした。ああ〜。
前日の夜も、まして当日も花屋さんにすぐ電話すればよかったのに、パニックになってそれが全然浮かばなかったのが悔やまれる。
廊下で右往左往していたら、お店の方たちも出入りのドライバーさんに電話を試みてくださったり助けてくださいましたが電話は繋がらず、待てど暮らせど花束は届かず。
ようやくドライバーさんや配送業者さんのカスタマーセンターに繋がりましたが 、配送業者さんからのお返事は
「お品物じたい承っていないですね……」
ギャーッ!!?
まさかまさかの花屋さんが花束を作るのを忘れる。
こうして初音の里には鶯の美声ではなく、つまの悲鳴が響き渡ったのであった……。
さてどうなる荒川夫婦。次回へつづく。