店内がいっぱいのときは、お客さんたちは店の前の道路で食べている。
ゲソ天で有名な、日暮里の立ち食い蕎麦「一由(いちよし)そば」。
決してきれいとは言えない雑多なかんじの店内、店員さんがほぼ外国の方という不安な雰囲気、そして油で曇ったショーケースにゴロゴロと並べられた香ばしそうな色の天ぷら……! 入るのにはちょっと勇気がいりますが、客足がまったく途絶えず、人気店だとわかります。それもそのはず、テレビや雑誌によく取り上げられている日暮里の有名店なのです!
立ち食い蕎麦ですがテーブル席もあるし、お店がいっぱいになると店の外の道路で丼を抱えて食べている人たちもいます。ぎゅうぎゅうで立ち食い蕎麦ってなんか息苦しいし恥ずかしい、という方には太陽の下でそばをすする、開放的な道路食べをおすすめしたいです。
肝心のお蕎麦ですが、つゆは濃いめ、麺はやわらかめ。蕎麦の香り……とかはしない。よくある立ち食い蕎麦のソフトな麺のかんじではあります。あんまり期待して食べると、きっと「ん? たいしたことないじゃん」と思うやもしれません。
しかし!!
セルフでかけ放題のネギと唐辛子を乗せ、あつあつのつゆにゲソ天を沈めながら食べると、ほろほろになったゲソ天がつゆと馴染み、なんともいえないコクが……。お腹いっぱいになる頃には大変幸せ。
名物のゲソ天の他にも、なす天とか玉ねぎ天とか、ゲソ天以外も多幸感の強い天ぷらが揃っています。しかもとにかくなんでも安い!! かけそばが200円で、天ぷらはどの種類もほとんど100円。
だから、給料日などに ゲソ天(110円)+たまねぎ天半分(50円)+舞茸天(60円)と、好みで豪華トッピングを楽しんでもトータルで420円。ワンコインでお釣りがきます。ちょっと小腹程度だから〜と、蕎麦の盛りを小盛にすれば100円なので、320円。ブヒヒヒヒヒ!!!!!!
このように、そばや天ぷらの量を選べるので、ちょっと小腹が空いたときにも、お腹いっぱい食べたいときにも、行きやすいお店です。
そしてとにかくメニューの種類が豊富で、お店の親父さんの飽くなきメニュー開発への探究心、チャレンジ精神が伺えます。お客さんからのリクエストメニューや季節限定メニューなどもあって楽しいです。
下町グルメめぐりをしていると、「常連に甘えて向上心を無くしたダメな居酒屋」というのを地雷のごとく踏むことがたまにありますが、一由そばは常連さんとのコミュニケーションが、メニュー開発などお店の親父さんのチャレンジ精神を後押ししているかんじがして、すてきな距離感だなあと思います。
ちょっと疲れたときなんかに一由に行くと、私もがんばろう、と励まされます。なにもしないけど。
そんでもって、親父さんのメニュー開発精神の賜物というべき絶品メニューが、ゲソ寿司!!
紅ショウガを混ぜこんだシャリに、細かく刻んだゲソ天が乗った押し寿司です。私は紅ショウガが好きではないのですが、このお寿司はゲソ天の油の風味とゲソのぷりぷり感、甘酸っぱいシャリと紅ショウガの歯触りが口の中で混ざり合って、なんとも後引く味わいで好きです。おやつに最適。
ゲソ寿司をお持ち帰り用にして、そのまま西日暮里から舎人ライナーに乗って、舎人公園でゲソ寿司を食べながらビール、なんていうのがなんとも幸せで贅沢な休日。ゲソ寿司2個で160えーん。
(ポイントは西日暮里まで戻ることだ! なぜなら日暮里〜舎人公園は片道329円かかるけど西日暮里〜舎人公園は片道278円で50円ほど安いのさ! 50円あれば一由で半分サイズの天ぷらを追加トッピングできる!!!)
一由そば
○荒川区西日暮里2丁目26−8
○日暮里駅から尾久橋通り方面へ徒歩4分くらい。千代田線西日暮里駅出口2から尾久橋通り沿い(舎人ライナーの高架下沿い)に日暮里駅方面へ歩いたほうがわかりやすいかも。
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