先日始めた食器の金継ぎの途中経過です。
前回は錆漆を作って欠けを埋めました。
乾燥させているあいだの食器は、ダンボール箱に入れて加湿器のそばに置いていました。
毎日眺めていました
1週間後、しっかり乾燥した錆漆を砥石でなめらかにします。「錆研ぎ」という作業です。
職人気分!
ぎざぎざを均(なら)すように研いだら濡れた布で拭き、また乾燥させます。修復部分が小さいので、3日後くらいに次の作業に入れました。
乾燥しているのを確認したら、赤い「弁柄漆」を塗ります。「塗り」の作業です。
ツーンと独特のにおい。ベンガラはラスコーの洞窟壁画にも使われた最古の顔料なんですと!
セットの漆はマニキュアタイプなので塗りやすいです(ただしそのまま使うとボテッとついちゃうので、あらかじめ厚紙などに一度塗ったりして量を調節しておきます)。
数日乾燥させたら次は「塗りの研ぎ」です。前回塗った弁柄漆を砥石で丁寧に研いでなめらかにします。夫いわく、これの具合がこれまた難しかったみたい。
見た目には充分なめらかになっていた気がしても、まだまだ研ぎが足りなかったみたいで、あとで金粉を蒔いたときにボコボコになったり、境目が目立つ部分ができちゃいました。こんなかんじ。
くやしがる夫
この工程は、研ぎをしたらまた弁柄漆を塗って、乾かして研いでを何度か繰り返す覚悟で丁寧にやらないとだめですね。ネイル用のヤスリやサンドペーパーを臨機応変に使ってもよかったかも。次回への反省。
そしてまたしっかり乾燥させたら、いよいよ「金粉蒔き」です!
鼻息で飛んでいきそうで不安!!!
こちらは純金消粉(けしふん)という金粉です。セットには0.2gが入っていました。消粉は白金や銀もあるし、赤みがかった金などバリエーションもあるみたいです。なんだかんだ金粉は1gで7000円くらいするので、やはり高級! くしゃみしないように気をつけないと。
もちろん食器に使うものなので、変にケチって変色したり毒になったりするようなパチもんを買うよりは安心です。ただ、サンポップで買ったうつわは半額の銀継ぎにすればよかったかもしれないな……笑。
薄〜く弁柄漆を塗って30分ほど置き、半乾きの状態になったら金粉をケチらずたっぷり真綿につけて乗せていきます。
漆が綿にベトッとついちゃったりして、乾き具合の見極めと力加減が難しいところ
4日ほど乾燥させ、濡らした綿棒ではみだした部分などをきれいに拭います。こんなかんじになりました。
毎回違う食器で経過がわかりづらいですね。あんまり何も考えずに写真撮っちゃった
現在はここまで。あとは再び透漆を塗ってコーティングする金粉固めと、仕上げの磨きが待っています。修理しているのはどれも使い勝手がいいお気に入りのうつわ。金継ぎがこんなに時間をかけるものだと思っていなかったので、ないと不便で不便で……笑。
完成が楽しみです!!
さて、わたしたちが使用しているこちらのセットですが、
セットの内容は1人が作業する前提なので、夫と同時に作業するためサンドペーパー(乾いた漆を研ぐ用)と面相筆(漆を塗ったり、金粉を置く用)を買い足しましたが、うつわの欠けの修復程度だと、セットに入っていた砥石と真綿を半分に割って使えました。あ、でも面相筆は散った金粉を拾うときに便利ではあったかな。
あとは前回も書きましたが便利だったのは錆漆をつけるときの竹平串。でも1人で作業するなら、買い足すのは綿棒くらいで充分かも。綿棒はセットにもたくさん入っていましたが、すぐ足りなくなりました。あと念のためビニール手袋の予備と、漆のついた綿棒などをすぐ捨てられるゴミ袋も脇に用意して作業したほうがいいかもしれません。
そして漆といえばかぶれが心配ですが、「意外とかぶれないから手袋いいや〜」と手袋を外した夫が漆に間違えて触ってしまい、そのあと放っておいたみたいでかぶれてしまいました。水ぶくれが広がって痛痒いみたいです。やっぱりかぶれるんですね漆……。夫もかわいそうです。わたしも気をつけよう。
年末にも牡蠣ナイフで夫が手を切ったときに同じような会話をしたぞ
▼金継ぎ最終回はこちら。