結婚式準備のストレスだろうか……。たぶん牛には勝ったと思います
結婚式(神前式)の準備の話。
前回はこちら。
レンタル着物&出張ヘアメイクの業者さんの、試着契約会に行きました。
これから「神前式を挙げてみたいなあ」という未来の花嫁さんのご参考に、衣装選びのときに感じたことなどをちょっと長々と書いていきたいと思います〜。
和装の婚礼衣装
和装の婚礼衣装で一般的なものは、白無垢、色打掛、引き振袖です。
婚礼衣装は裾が長くて地を引くので、裾に綿が入ってポワンとふくらんでいるのが可愛いですよね!
どれも素敵ですが、わたしは白無垢にしました。
神前式といえばまず白無垢のイメージがあったのと、白い着物を着てみたくて。
七五三のときも、かわいい着物より襦袢に喜んでいたわたし……。
そして夫婦で大好きなマンガ『ちいさこべえ』でも白無垢で結婚式を挙げるシーンがあったので、夫も「白無垢すてきよね〜」と賛成してくれました。
しかしなんと!
白無垢って単純に真っ白な着物かと思いきや、意外とバリエーションが豊富。
柄も鶴、鳳凰、松竹梅などなどいろんな縁起柄があるし、もちろん無地もあるし、赤い裏地がアクセントのように見える「赤ふき」や、金糸銀糸の刺繍が施してあるものや、ちりめんやら友禅やら、オーガンジーやフリルつき生地もあり、さらに半衿や小物で差し色も出来る……。うーん、迷う!!
似合う「白」選びは難しい!
いろいろ試着してみる
まずは華やかに見える「赤ふき」を試着。
お店にあった「赤ふき」は地の色が黄みが強めの生成り色でした。わたしが着ると肌色がなんだかちょっとくすんで見えるような……?
でも当日は顔が白くなる水化粧をするし、白無垢ってこんなものかと、赤ふきに続いて着たのは「鶴」の柄。二羽の鶴が連れ立って飛んでいる姿は縁起が良いし、かわいいかわいい。
そして今度は別の花柄の着物をお願いしたところ、お店の方が間違えて「御所車」の柄を持ってきました。正直言って、小花のモチーフ好き・鳥好きのわたしとしては一番興味のなかった文様でした。
まぁせっかく出していただいたから、と着てみたらとっても馴染むし、顔色がよく見える!!
夫も母も見るなり「それにしなよ!」と即答。
いったい何が違うのか!!!???
白は白でも……
白無垢の生地で一般的な正絹(しょうけん:100%絹で作られた糸・生地)は、おろしたては真っ白でも、だんだんと生成りの色合いに変化していくらしいです。この正絹独特の色味がまさにパールのような艷やかさと女性らしい柔らかさがあって、上品で素敵だわあ〜と思っていたのですが、黄味が強くなっちゃうとわたしにはあまり似合わないみたい。
見づらいですが、左(手前)が本番で着た御所車で、右が試着した鶴の白無垢。どちらも同じ白の正絹なのに、けっこう違いますよね。
写っていないですが、着てみた「赤ふき」も右の白無垢の色味でした。真っ白な赤ふきもあれば着てみたかったな〜
御所車はたまたまお店に届いたばかりの新しいもので、わたしの肌色だとこちらの真っ白がしっくりきました。もちろん生成りの色も問題なく着れていたのですが、一度真っ白を着たのを見てしまってから生成りを着ると、どうもやっぱりくすんで見えて。
白は白でもいろんな白があって、似合う色選びって難しいな〜とつくづく思いました。
たまたま読んだ着付の本には「色白ならどんな白でも似合う」とか書いてあったのですが、やっぱり絶対に試着したほうがいいと思います!
周りの白によって、同じ朱色もなんとなく違って見えたり……
もし試着がなければ、似合わない白の着物を選んで「あれ、なんかくすむ?」と挙式当日に思っていたかもしれないです。
柄のバランスも大事
また、御所車の白無垢は柄の入り方もババンと勢いが強くて大ぶりで、小さな花の刺繍や文様が散りばめられているよりは、わたしの体格(でかい)や顔(ふてぶてしい)に合っていたような気がしました。
背中から見ても、大ぶりの柄のほうがわたしの広い肩に合ってました
着物なんて体型がわからなくなっちゃうし、ましてや白無垢なんて柄がよく見えないだろう、なんて思っていたのですが、やっぱり身長と雰囲気で似合う柄、似合わない柄があるんですねえ……。
試着する前は、鶴と梅とか、しとやかに流れるような柄や、桜がたくさん浮き出たような刺繍(相良刺繍)の着物が好みだったのですが、御所車が色も柄もあまりにもぴったりで他に選択の余地がなかったです。
綿帽子と小物選び
角隠しor綿帽子
続いて帽子選び。
白無垢に合わせる帽子は「角隠し」と「綿帽子」の二種類がありますが、白無垢でしか付けられない綿帽子を選びました。
綿帽子のまあるいかんじが好きだったのと、挙式日が初冬だったので、当日の天気によっては角隠しだと顔の半分に影が入って暗く見えるかな? と心配だったのが理由です。 角隠しで影が入る、というのは角隠しで挙式した母の話から。当日は天気が良すぎるほど良くて、わたしの綿帽子がレフ板状態で夫がずっと光ってました。
輝く夫
花嫁の装身具とその意味
そして花嫁さんの小物5点セットの用意。
筥迫(はこせこ)、懐剣、末広(扇)、抱え帯、丸ぐけ(帯締め)という装身具です。
抱え帯と丸ぐけは、打ち掛けを着たら見えなくなっちゃいます
それぞれの装身具に縁起がありますが、特に日本の花嫁らしいなあと思ったのは懐剣。これは武家時代の女性の護身具で、魔除けの意味と、花嫁の覚悟を表すそうです。聞き慣れない筥迫(箱せこ)とは昔のお化粧ポーチ。いつもきれいでいるという誓いとのこと。また、筥迫には銀のかんざしのような道具が入っているのですが、これは武家時代に手裏剣として使っていたものの名残りのようです。
衣装や小物の意味を調べていたときに見つけた、大正時代の本に書いてありました〜。
...この銀のビラ〱のついた簪のやうなものは武家時代は手裏劔に使うやうになつてゐました。...曲者等に出會つたとき遠く離れて狙ひを定めて擲(なげ)つけたものです。
国立国会図書館デジタルコレクション - 衣裳と着附 古田むめ著 45ページより
懐剣もあるし手裏剣もあるし、身支度を終えたときに自分がだいぶ強くなった気がしました。
懐剣と手裏剣で夫を守る、アグレッシブな妻でいたい
ちなみに白無垢のときは小物も全て白で統一するそうですが、わたしは白地に金銀と朱の梅の花が入った紅白の小物にさせてもらいました。白無垢に色を入れてはいけない神社もあるそうなのですが、全部白にするより自分の個性に合っていたと思います。
これで着物は決まり!!
夫の紋付羽織袴
夫も羽織袴を試着してサイズ合わせ。「ぼくもつまちゃんみたいに、もっといろんな色を試してみたぁい」とか言ってましたが、黒紋付一択。 塩大福のような顔の夫に似合っていました。
羽織紐のポンポンがかわいい
試着のときは前髪を下ろしていたので七五三っぽかったけれど、式当日はきっちりと髪を分けてセットしたので成人式くらいには見えました!(と言ったら夫は怒っていた)
運命の白無垢
結婚式の準備を振り返って一番印象的だった思い出は、やっぱり白無垢選びのときのミラクルです。
着物を選んだ後、母が「すっかり忘れてたけど、わたしの白無垢も御所車だったの!」と言って結婚式のアルバムを出してきて、二人で確かめてびっくり!
お店の人が間違えて御所車を持ってきてくれたのが、本当に運命の導きのように感じました。どうして自分では絶対選ばない着物がこんなにぴったりしっくりきたのか、 ようやくわかったような笑。
挙式の日も白無垢を着ていられる時間なんてほんのわずかで、あとからアルバムを見返しても柄は反射しちゃってあんまりわからないのですが(真っ白だったから……)、母と同じ柄の白無垢を着たことがとても誇らしく思えます。きっと母も、同じ柄ということでちょっとした感慨があったんじゃないかなあ。
両親たちの衣装
両親たちの衣装(父:モーニング、母:黒留袖)&ヘアメイクもわたしたちの衣装と同じ業者さんにお願いしました。
挙式後の会食ではみんなとっとと平服に着替えたいとのことで、挙式が終わったら神社で全員着替えて、衣装を業者さんにそのまま持って帰っていただこうという魂胆。結果、楽ちんでした(みんなで「撤収ー!」という勢いでワサワサ着替えて、控室がさながらドリフの場面転換のようだった)。
次回、かつら合わせ!