サルノコシカケでも密猟しようとしているんじゃないか、というやたら薄着の怪しい人が木陰からいきなり出てきたときは、ちょっとびっくりした
洞窟好きなら行かねばなるまい。
富士山のふもと、青木ヶ原樹海ミステリーツアーに行ってきました。
目的は氷筍のある風穴探検!
天気はくもりときどき雨でした
ツアーは富士山博士のベテランガイドさんに案内していただきました。
朝に富士急河口湖駅に集合で、ガイドさんに車で拾っていただいて樹海へ。
樹海の成り立ちや自然についての解説を聞きながら、風穴目指してのんびり樹海ウォーキング。
樹海といえば怖い話もありますが、何が一番怖いって、樹海に入ると360度同じ景色に見えてきて方向感覚がなくなる、ということでしょうか。うにょうにょ同じような針葉樹ばっかり。
樹海の樹木の根っこがうにょうにょしているのは、溶岩の層に阻まれて根を下ろせないという、「横根」だから、とのこと。
さらに樹海の中は、平安時代の噴火 (貞観大噴火)での溶岩流が木を閉じ込めて燃やし、そのあとそれが冷えて固まることで出来る深〜い空洞(鳴沢熔岩樹型)が落とし穴のようにあちこちに開いているので、
ガイドさん無しで歩いたり、遊歩道のコースを外れると穴に落ちて出られなくなることも……。
そうなると場所によっては救助も発見もされないとか。ひゃー。
でも、とりあえず勝手なことをしないでガイドさんに従っていれば、楽しく散歩できる安全な場所です。(熊が出るかもしれないけれど)。
よくある「樹海では方位磁石が効かない」という話は、溶岩に含まれる磁鉄鉱によるものですが、よほど剥き出しの岩に磁石をくっつけないかぎりは、普通に磁石は効いていました。
地学の教科書でみたやつだー 感動
こんなうっそうとした原生林を歩く機会ってなかなかないので、とても楽しい!
でも夜に一人で歩けって言われたら、いやですね。
いよいよ富士風穴に到着! 天然記念物なので、国の許可がないと入れない場所です。
下に落ちている木枠は大正時代に使われた養蚕の道具の名残。穴からはいつも冷たい風が吹いていて、気温の低い風穴は養蚕にもってこいの場所だったそうです
風穴の中は氷の世界。透明度の高いつららがとても美しい。
風穴内はヘッドライトをつけて入ります(ヘルメットと併せてレンタル)
地面から氷柱がタケノコのように伸びている氷筍を見たかったのですが、残念ながら立派なものはありませんでした。でも満足。
風穴の中は凍っているのですごく滑るのと、冷蔵庫の中のように寒かったです。
つるつる! 転んだら氷筍がお尻に刺さりそうだったので、用心しました
しかも、ちょうど雨降りが続いたタイミングだったので、穴を降りたり登ったりするときに靴や服がべしょべしょに濡れてしまってよけいに寒かったです。防水ズボンを履いていけばよかったー。
ツアーに参加するなら、服装は脱ぎ着しやすいウィンドブレーカーやフリースとか、替えの靴下も持っておいたほうがよいかもしれません。
靴も、樹海の遊歩道は整備されていて歩きやすいのですが、風穴では靴底がちゃんとしてないとつるっつる滑ります……。
風穴探検を終えて、再び樹海ウォーキング。
フィトンチッドを浴びまくりで、体力のないわたしでもやたら元気に過ごせました。
樹海には、猿以外の日本に住む動物の種類がほとんどが住んでいるということで、さまざまな動物の息づかいを感じることができます。
リスの食事のあと(名付けて”リスのテーブル”)を発見したり、木にクマの大きな爪痕がついているのを見て、ぞっとしたり。
リスがまつぼっくりを食べたあとが、エビフライのかたちそっくり。
サルノコシカケやギンリョウソウなど、珍しいきのこや植物も観察することができました。
ガイドさん曰く「樹海で行き倒れた人を養分にして、人の形に生えているギンリョウソウがあるらしい」という有名な噂はうそっぱちだそうな。というかそんな話はじめて聞いた……笑
そんなかんじで4時間ほどのツアーでしたが、ガイドさんのおかげでとても楽しい体験ができました。
日本は火山のある国だから〜とはいうけれど、東京在住のわたしはあんまりその実感なく生きていましたが、樹海ツアーのおかげで、火山活動の激しさの痕跡に触れて初めて「火山は怖いな」と感じました。しかし、大好きな温泉も火山活動の恩恵であるので、同時に「ありがたいわ火山」とも。どうしよう。とりあえず踊ろう。
樹海は、大人も子どもも得るものがたくさんあって、さまざまな自然と触れ合えて楽しめる場所だと思います。
樹海ツアー、超おすすめです!
◎参加させていただいたツアー