ああ怖い怖い
netflixのドイツドラマ「ダーク」のシーズン3が配信されました。
最終シーズンとなった今回でトリロジーが完結。
昨年の日記でも「面白い」と書きましたが、本当に面白いドラマだった〜。
会う人会う人におすすめしまくりました。
ドラマでも重要な日付だった「6月27日」に配信が開始され、甘いものとしょっぱいものの迷宮をループしながら夫とちょびちょび観終えました。
8ヶ月の娘は、いつもは大騒ぎするのにこのドラマを観ている間はすやすや抱っこで寝ていてくれました。
娘がお腹にいるときにダークのサントラをずっと聴いていたので、懐かしかったのかもしれません。ドラマをエンジョイさせてくれてありがとう、娘。
ここからネタバレ
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広げた風呂敷を畳むどころか……
シーズン1の最終回は、ヨナスがマッドマックス的な世界に行って終わるという衝撃的な結末でした。
面白かったぶん、「ええっ、近未来まで風呂敷を広げて大丈夫か!?」と次シーズンが不安で不安で。
しかしシーズン2はその不安なぞ木っ端微塵に吹き飛ばす、予想外の面白すぎる展開!
普通こういうタイムトラベル話って、主人公以外はあまり時を越えるイメージがなかったのですが、ダークはヨナス以外の父母世代もみんな越える越える。
そのなかでもハンナときたらもう……。
ということで1920年、1953年、1986年、2020年、2053年と複数の時間を複数のキャラクターが行ったり置いてかれたり置いてったり(!)加速していく物語に「これは凄いドラマだ!!!」と手に汗握って物語を追いました。
そしてまた「えええー!? どういうこと!?」と最高のテンションで終えたシーズン2の最終回から約1年。
待ちに待ったシーズン3は、シーズン1の最終回と同様に「ええっ、そこまで風呂敷を広げて大丈夫か!?」というか、
……風呂敷が2枚あった!?
という衝撃から始まりました。
最終シーズンで平行世界まで出てくるなんて!!
全話観終えて、多少消化不良感も否めませんが2枚の風呂敷も意外とちゃんと畳んで置いてあるというか最終的には3枚になったのが1枚になったというか笑。
本当に面白いドラマだったなあと思います。
時をかけて恋人を救う話は古今東西ありますが、こんな結末を迎える物語はわたしは「ダーク」しか知りません……。
自分の存在どころか、ぼくも愛しい子もその親父や祖父に至るまで、初めからみんな存在しなくなるという……。
複雑にループする世界や存在については、劇中に出てきた靴ひも理論は難しかったので、風呂敷理論でなんとか整理して理解できました。
ううう、いろいろ忘れてるのでまたシーズン1から見直したい
切ない結末とお気に入りキャラクター
一話一話観ているときは、お気に入りキャラクターはそのぶっ飛び具合からハンナだったのですが、最終シーズンまで観終えた現在、振り返れば心に引っかかっているキャラクターはマグヌスとフランツィスカです。
ループに巻き込まれてはいるけれど、世界を救おうとするヨナスやマルタ、複雑な運命のシャルロッテとエリザベート、そういう身内たちと比べると物語の中心にはいなかった二人。
アダムの世界でもエヴァの世界でも彼らはカップルで、ヴィンデンという街の閉塞感や家族の不和を感じてどこか苛々しながらも、肌を合わせたり、誤解に怒鳴り合ったりして孤独な心を通わせていました。
しかしアダム世界では、10代だった彼らが未来で現れたときはどこかあきらめたような老いた姿に。
バルトシュは愛すべき女性に出会ってアダムたちのもとを離れたように見えましたが、マグヌスとフランツェスカは未来でもアダムと共にいます。
その地点に至るまで、二人がどう過ごしていたのかは描かれていません。
イメージでは、終末がなければどっかのミュージックビデオのような激しいケンカと仲直りを繰り返してはダラダラ付き合い続けているカップルになってそうなんですが笑。
最終的にはヨナスやマルタはもちろん、マグヌスとフランツィスカもまた世界が「オリジナルの世界」1本に戻ったことで存在自体が消えてしまって。
マグヌスとフランツィスカは、浮気だの横恋慕だの未来と過去がグッチャグチャだのとなんとなく背景が暗いカップルたちのなかでは一番まっすぐに若さと青春、愛と性を体いっぱいで謳歌していたように見えました。
そうやって生きていた2人が消えた、消えたどころかマグヌスとフランツィスカなんて最初から存在していなかった、喜びも悲しみも苦しみもなかった、というあっけなさと切なさが「ダーク」らしいなとわたしは思うというか、ヨナスとマルタの消滅以上に空虚で寂しかったです。
ダークのすごいところ
「ダーク」はカーンヴァルト、ニールセン、ドップラー、ティーデマンという4つの家系が何世代にも渡って複雑に絡み合う物語です。
このドラマがここまで面白かったのは、それぞれの血脈の人物や若年、中年、老年の姿を演じる役者さんの顔や雰囲気を「全員同じ役者さんでは!? 何年かかって撮ったの」と思うほど似せていたこと!
だからそれをヒントに新しいキャラクターが登場するたび「これは誰だ?」を紐解いていくのが本当に面白かったです。
最初にノアが出てきたときなんかは、どことなく顔がバルトシュっぽかったのでノアはバルトシュの未来の姿じゃないか? と夫と予想して盛り上がりました。シーズン3ですべて明かされて、「なるほど!!」ってかんじです。
そういえばUnknownの中年、老年の姿は本当の親子が演じているらしいですね。こだわりが素晴らしいです。
まとめのまとまっていない感想
あとまとまっていない感想としては
・Unknownとアグネスの出会いを知りたかった
複雑な糸のように絡んだ家系図のすべての起源がアダムとエヴァの禁断の子Unknown、そして彼の子を生んだアグネスですが、その2人の関係が物語中で全然描かれなかったのが残念でした。
終始不気味で蛇のような存在感のUnknownですが、トロンテに会ってアグネスのブレスレットを渡すときに、我が子に対する愛情を見せていた気がしました。
もっと彼について知りたかった!
アグネスを演じる女優さんも素敵だったので、このUnknown、アグネス、トロンテ家族をもうちょっと観たかったなあ。
あとそういえば終末後の世界で、レジーナの墓の前でのトロンテとクラウディアの会話(「手早くね」)が何を示すのかわたしはわからなかったのですが、どういうことだったんだろう。
・ハンナ、今度こそおとなしく幸せになっておくれ
時をかける愛の狩人、ハンナ。
エヴァ世界においてはヨナスはいませんが、ハンナは妊娠しています。
ウルリッヒとの子かと思ったのですが、でもウルリッヒが存在しているということは、ハンナのお腹にいるのはどこかでエゴンかハンナがタイムスリップでもして出会って浮気した結果の子でないと、そもそもウルリッヒならびにニールセン家の面々は存在できないのでは……。
そうなると自分が浮気しておいてウルリッヒの浮気相手であるシャルロッテを失脚させようとするハンナが恐ろしい笑。
エヴァ世界の終末の日にエゴンがハンナとお腹の子をたぶん助けていましたが、そのあたりが気になりますー。
・カテリーナも幸せになっておくれ
すべてが丸く収まったように見えるオリジナルの世界でも、カテリーナのあの強烈なおかあちゃんは存在してるんでしょうか……。
レジーナやハンナと親友になっている姿を見ると、若き日のカテリーナの凶暴性はウルリッヒがいたことでそうあったというだけなのかな。
今生でのカテリーナの幸せを願います。
・結局はタンハウスとクラウディアが有能すぎる話だった
終末時に所詮はただの学生だったアダムとエヴァに比べて、原子力発電所の所長まで上りつめたクラウディアはやはり行動力がすごかった。
ヨナスもマルタもぐるぐる迷宮でもがいていただけで、謎はほぼクラウディアが解きましたよね。
そしてそもそもタイムマシンを作ってしまうタンハウスがやはり凄い笑。
とりあえず広げられた風呂敷はクラウディアが畳んでくれました。
もし大事な恋人の命を助けるために、自分がいなくなるか大事な人がいなくなってしまうか、世界を滅ぼすかを選ばなければならないとしたら。
わたしならどうするかなあと考えたのですが、夫と同時に存在できないならそんな世界滅びてしまえ派(アダム派)だなとパッと思って、でも奇跡的にも二人の子がお腹にいる、と知ったら「世界が何度も終末を迎えたとしても子が存在する世界を何度も作る」を選ぶかもしれない(エヴァ派)と考え──
やっぱり「子が存在する世界のために、世界を2つ消滅させる」クラウディアが最強という結論に達しました。
またゆっくり気になる部分を見直したいです。
あー面白かった! !
オープニングテーマのapparatをじっくり聴くとまた切ないです。
たまにふと感じるデジャブは、さようならをした誰かの残像が粒となって空気に溶けている名残なのでしょうか。
そういえばヨナスとマルタは、自分たちをアダムとエヴァといつから名乗るようになったんだろう。ある日急に思いついたんだろうか。そこも気になる笑。
▼ゲーム・オブ・スローンズも終わっちゃったし、ダークも終わっちゃったし、ストレンジャー・シングスが始まるまでは次に何観よう……