発酵にいい環境男
DIYに続いて、作る系日記。
室温が25℃を超えてくると作りたくなるのがライ麦と水で作った”サワードウ”のパン種から起こす、酸っぱい黒パン。
ほっぺのようなしっとりむちむちした食感、鼻腔をくすぐる甘く酸っぱい香り、噛みしめるたび広がる心地よい酸味。たたたたまらん。
ライ麦パンは食物繊維や鉄分、ビタミンB1が豊富。独特の酸味はサワードウの乳酸によるものです。
わたしの理想の黒パンは「アルロフスキー」というパン。このパンの味を求めつつ、ライ麦パンにそこまで思い入れのない夫にもおいしく食べてもらうために、いろんな方のレシピや本を参考にして我が家なりの黒パンが出来ないかなあと作っています。
セミハードチーズ+サラミやバター+サーモンorイクラ、ブルーチーズ+トマトを乗っけるのが好きです。クラムチャウダーにも合う♡もちろんそのままでもおいしい
まだまだ実験中ですが、安定して焼けるようになったのと、ようやく夫から「このバージョンが一番おいしい」と太鼓判をもらったのでレシピをご紹介!
高温多湿な夫の存在感を利用して作るライ麦パン。オットスキーと名付けたいと思います。
室温やオーブンの機種などにも影響されるので、環境に合わせて調整してみてください。
ライ麦黒パン・オットスキーのレシピ
用意するもの
・ライ麦粉(全粒粉の細挽)
パン種作りから1本のパンを焼くまでに630gのライ麦粉を使うので、最低1kg袋サイズを用意。ライ麦は全粒粉で作ってみてください。
・強力粉
カメリヤとか普通の強力粉。わたしは「スーパーカメリヤ」を使っています。
・塩、無塩バター
・モラセスシロップ(フルフレーバー)
分量の詳細は工程で書きます〜。
モラセスシロップは聞き慣れないアイテムかと思いますが、製菓材料のお店(TOMIZとか)に売っている糖蜜のシロップで、ちょっと鉄臭い黒糖のような味がします。
今回のレシピでは黒うさぎ印のモラセスシロップを使用。
悪い夢に出てきそうなうさぎ
モルトシロップや水溶きはちみつなどで置き換えることも可能ですが、やっぱりこのモラセスシロップで作ったときが一番「これだ!」という味と香りになるし、夫からも「モラセスを入れたバージョンがおいしいし食べやすい、焼いているときの香りも好き」と言われているので、できればモラセスで試してみてください。
ちなみにオーガニックのモラセス(Blackstrap)は鉄分豊富で、PMSに効果があるので女性にはそちらもおすすめです!
頭痛がひどいときはモラセスをひと匙なめると落ち着きます(ただ、お菓子作りには黒うさぎ印のモラセスがおいしいし、Blackstrapじゃなくともなんだかんだ頭痛は治まる気はする)。夫は蜂蜜やジャムがわりに無糖ヨーグルトに混ぜて食べるのが好きで、一瓶買ってもすぐ食べちゃいます。
そして材料のほかにライ麦パン作りで欠かせないのがタイガークラウンのシリコンゴムヘラ!
ライ麦パン生地はベタベタしているので手ごねはせず、ヘラなどでこねます。重たい生地を力を入れてこねるときに、このタイガークラウンの芯が入っていてかつコシがあるシリコンゴムヘラ(大)がすっっごく使いやすいです。一体型なので抜けたり壊れる心配もないのが良いし、洗いやすいのでパン種を混ぜるときにも衛生的。
と、なんだかテレビショッピングのように商品紹介を連ねてしまいましたが、自分に合った材料や道具を使い始めたことで失敗しづらくなったので、もし足りないものや興味があるものがあれば、ぜひぜひ試してみて下さい。
サワードウのパン種(元種)作り
1日目
ライ麦粉 70g
ぬるま湯 80g
煮沸消毒した大きめの瓶に材料を入れて混ぜ、ふわっとラップをして室温に1日おく。びっくりするくらいモコモコになっていくので、1L以上のしっかり大きめ瓶が良いです。
これは4日めの朝。1.2L瓶いっぱいにふくらんでいます
雑菌が入るとダメになっちゃうので、作業の際は念のため食品用の手袋をして、あと台所はきっちり掃除して清潔な場所に置いてください。
2日目〜4日目
ライ麦粉 70g
ぬるま湯 80g
朝、おはようと言いながら瓶にライ麦粉70gとぬるま湯80gを加えて清潔なゴムヘラなどでかき混ぜ、またラップで蓋をする。夜寝る前にも軽くかき混ぜておやすみを言う。
翌日も同じ作業を繰り返して、モコモコふくらむ元気のよさそうなパン種になっていれば出来上がり!
わたしの場合は4日目に材料を加えて2、3時間くらいモコモコさせたあとに次の中種作りに入るとおいしく出来るような気がして、そうやっています。
元種にヘラを差し入れて、バフッ、とする瞬間がたまらない
カビていたり、生ゴミのようなモァアと腐った匂いがした場合は廃棄して瓶をしっかり洗って消毒してください。
酵母がきちんと育っている最中の匂いって説明が難しいのですが、酸っぱい白ワインやビールのような匂いとでもいうのかな……。お酒好きだった祖父が晩酌しているときにだっこしてもらったときの匂いをちょっと思い出します。おじいちゃん発酵していたんだろうか。
中種作り
元種 50g
常温の水 140g
ライ麦粉 150g
ボウルに元種と水を入れて溶かしたら、ライ麦粉を入れてヘラで粉気がなくなるまでこねて、ラップをしてビニール袋に入れて室温(袋に入れた状態で目安は30℃)で6時間くらい発酵。
部屋が寒いかな、というときはレンジにお湯を入れたコップと一緒に入れて扉をしめて置きます。
2〜3倍程度に膨らんだら中種の出来上がり。使わなかった元種は、きっちり閉まる蓋をして冷蔵庫で保存。5日くらい持つそうですが(カビが生えたり、腐った匂いがしたら即廃棄!)、わたしは元種完成から3日程度で使い切ってます。
生地作り (食パン型1斤分)
中種 250g
強力粉 150g
塩 小さじ11/2(6〜8g、塩の種類で調整)
常温の水 240g
モラセスシロップ 30g
ライ麦粉 200g
無塩バター(室温に置いてやわやわにしておく) 5g
※型はアルスター食パンケース1斤を使用。
※中種は300g近く出来るかもしれないですが、使うぶんだけ取ります。(中種は多めに作っています。もったいないので余ったら元種の瓶に戻しちゃう……)
こういうずぼらをするとパンの味が安定しない。ボウルにこびりついたぶんもあるので、結局中種は250〜255gちょいくらい入れてます……
中種に強力粉、塩、水、シロップを入れてヘラで混ぜる。
だいたい混ざったらライ麦粉とバターを加えて混ぜ、ボウルにラップをしてビニール袋に入れ、室温に1時間半くらい置く。2倍に膨らめばOK。
バター(分量外)を塗った食パン型に入れたら表面をならし、35℃で1時間スチーム発酵(しかし、うちのレンジは40℃でしか設定できないので40℃でビクビク観察しています)。生地を型に入れるときと表面をならすときは、ゴムヘラを水で濡らしながら作業すると扱いやすいです。型の8割くらいの高さに膨らんだらOK。
パンの表面を霧吹きで濡らすか、刷毛で水を塗る。ここでの水のつけすぎに注意(固くなりすぎる)。オーブンを230℃で予熱して、210℃に下げて60分焼く。
完成〜!
型から離れないときは側面をぽこぽこ叩いて逆さに振るとスポッと抜けます。 粗熱を取ってからビニール袋に入れて保存。焼き立てを食べないでちょっと置いたあとのほうがおいしい。切るのも冷めてからのほうがきれいに切れますし、パンがよりしっとり柔らかくなります。パンを切るときは横に倒して、側面からナイフを入れたほうが切りやすいです。
食べ方はそのまま食べたり、オープンサンドにしたり。しけってきたらスティック状にカットして、にんにくをすりこんで高温で揚げてチーズをかけて食べるのもおつです。
外カリカリ、中もちもち!
粉の配合はちょっと違いますが、コリアンダーを生地に加えて焼くと「バラヂーンスキー(Borodinsky)」というロシア風の黒パンも作れます。わたしは苦手なんですが……。
さて、いつもパンやお菓子は東芝の石窯ドームというオーブンレンジで焼いています。これは一昨年の夏に買ったもので、はじめて焼いたのもライ麦の黒パン。
レンジ購入以来、ほとんど毎日のようにパンやケーキを焼いていますが、もっちりライ麦パンは世界で一番大好きな味。これをちゃんと焼けるようになってすごく嬉しいんです……が。
わたしの家族や友人などは元々このパンをあんまり好きじゃなくて、「食べやすいようにアレンジしてみた」と言っても誰も欲しがってくれない笑!!!
なんかもう寂しいので、いつか食品衛生法をクリアしたキッチンで焼いてバザーとかに出して保健所などにも申請して正当な手続きを取った上で、パイならぬ「おいパン食わねえか」(©大泉洋氏)と酸っぱいパンを持って街行く人を追いかけ回したりしようかと思っています。そうしたらいつかは誰かが「好きだよ」と言ってくれるかもしれないし……。
役所で手続きさえ踏めば何をしてもいいと思っているつま
▼黒パンがあるならボルシチを食べるしかなかろう。