食い意地夫
前回はこちら。
神前式のハイライトといえば三三九度(正式には「三献の儀」)。
三三九度は奇数を良しとする中国の陰陽思想が基となっていて、おめでたい奇数である「三」を重ねて最高におめでたい数の「九」にするという、とても縁起の良い儀式らしいです。
儀式では3種類の大きさの三ツ組盃を使います。
式で使った盃は記念にいただきました。お正月に使おう! と思って、まだ使えてない。来年こそ!
この大中小の盃が意味するものは諸説ありますが、それぞれ天・地・人、もしくは小さい盃が過去、中くらいが現在、そして大きい盃が未来を表すとのこと。何度も盃を重ねて飲み交わすことで夫婦の契りと縁を固く結ぶのだそう。
順番は、
一の盃(小さい盃) 新郎→新婦→新郎
ニの盃(中くらいの盃) 新婦→新郎→新婦
三の盃(大きな盃) 新郎→新婦→新郎
こちらでいただくのが正式ですが、現在は略式の
一の盃 新郎→新婦
ニの盃 新婦→新郎
三の盃 新郎→新婦
こちらの方式での三三九度が多いみたいです。
盃からお酒をいただくときは、1回、2回、と口をつけ、3回めで飲み干します。
神職さんがお酒を注ぐときも1回、2回、とお銚子を傾け、3回めで注ぎます。
一の盃は自分の心や家族(過去)に誓いながら、ニの盃は夫や新しい家族(現在)に誓いながら、三の盃で神明(未来)に誓いながらいただきました。
……と、言いたいところなんですが、緊張したうえに着物が重くて腕が上がらず、顔を盃にぶつけるようなギコギコした動きをしつつ「む、お酒がうまい!?」とか考えていたら、いつのまにか三三九度が終わっていました……。
神聖な気持ちでやり直したい……。
そう、この三三九度で印象に残ったことといえば、お酒がすっごくおいしかったこと。
夫や列席者の家族たちも「あれは確かにおいしかった」と話していて、いったいどこのお酒だったんだろう。
古来より酒造りは神聖なもの、神様によるものとされてきたそうで、もしかしたら、荒川神社の神様がおいしく醸してくれたのかしら〜。
三三九度について詳しくはこちらの本が面白かったです。
著者の神崎先生は、民俗学者で神職でもいらっしゃるとのこと。こちらの本のおかげで任侠の世界の兄弟盃にも詳しくなれました。
本の内容のあらましがザッとわかる著者の講演のレジュメがありました。レジュメなのにナイスなオチが面白いです笑。
「日本の酒礼(式献)について」嗜好品文化研究会
http://www.cdij.org/shikohin/minutes/Lecture-Kanzaki.pdf
詳しく読みたくなったら、図書館(ゆいの森あらかわにもある!)にも置いてある本なので、神前式を控えたお嫁さまもぜひぜひ。
つづく。