↑マンションのチラシのあれ
これから荒川区への転入を考えている人のために、荒川区の住みよさについて書いてみたいと思います。
しかしながらわたしも夫も全国を回る転勤族の家庭の出身で、荒川区出身ではありません。
(好き勝手にものを言う前置き)
荒川区に限らずその土地で生まれ育ったネイティブな人と、外部から土地を評価して転入する人では、どちらが偉いとかではなく根本的に意見や視点が全く異なると考えてます。住む街選びの際は両者の意見を話半分に聞くのがいいかも!
ということで、あくまで荒川区外出身の人間(転入者)から見た荒川区観となりますが、両親と共に何の縁も所縁もない荒川区に転入して以来、その後も独立・同棲・結婚と人生の節目節目に荒川区内でチマチマ4回引っ越しして荒川区から出ないわたしなので、荒川区はとても気に入っているのです。
いったい荒川区の何が魅力か、どうして荒川区に住むのか、自分の思う荒川区の魅力について掘り下げてみます。
よそものに優しい街、あらかわ
一度住んだら離れられない魅力
勝手な意見を述べる前に、区のデータを紹介してみたいと思います。
荒川区の人口は98年以降は増加が続いており、また社会増減数(転入・転出の数)を見ると、荒川区は転出者よりも転入者のほうがほんのちょっと多くなっています。
参考:荒川区「世帯と人口」
ただし20代、30代の若年世代の人口の流動性が高く(出たり入ったりが多い)、学生時代を荒川区で過ごしても、その後は就職やらなんやらで荒川区を出ようとする若者をいかに荒川区に繋ぎ止めるかが、区政の課題となっているそう。
参考:荒川区「荒川区人口ビジョン(PDF)」2016年3月
しかし!
「これからも荒川区に住み続けたいか」という区の世論調査では、一度住んだら「住み続けたい」と答える人はなんと全体の9割近くにも上るとの結果が出ています。そういえばこのアンケート答えたなぁ。
荒川区政世論調査における定住意向に関するデータを見てみると、これからも荒川区に住み続けたいかと いう質問に対する回答は、「住み続けるつもり」(58.4%)と「当分の間は住むつもり」(29.6%)を合わせた《住み続けたい》(88.0%)の割合が9割近くとなっています。
(荒川区「荒川区人口ビジョン(PDF)」2016年3月)
つまり、荒川区は一度住めばなんだかんだ根付いてしまう街だということ!
ランドマークのないフラットさがよそものには居心地良い
まず、マンガにしたとおり荒川区には「これが荒川だ!!」と言うランドマークやスポットがありません。これは荒川区の面積が他の区より小さいので仕方ない部分ではあります。
そして区の60%が準工業地域ということで、こちらはちょっと古いデータみたいですが↓
...23区で第7位の、約3600以上の工場が集積しており、特に1k ㎡ あたりの工場数は23区で第2位の密度の高さである。しかし、規模は小さく、従業員1 ~3人の工場は約60%に及び、100人以上の従業員を持つ工場は僅かに5件である。
(浦野正樹・下村恭広編 「まちづくり活動の実態と可能性ー足立区・荒川区・台東区・葛飾区の現状と課題ー」(2002年) 「第3章荒川区 3-1-4産業」より)
こんなかんじで小さな区に規模の小さな工場と住宅がたくさん詰まっているのが荒川区です。
個人的には荒川区内に好きな場所はいろいろありますし、人の集まる場所もありますが、客観的に見て区外の人がそれを求めて移住するほどの力(認知力、付加価値など)は現段階ではまだまだだと思います。以前は「東京スタジアム」という野球場があったらしいですが、かなり昔の話。
では区外の人は荒川区にいったい何を見ているのか。
うちは離れた場所に住んでいる祖母が、「荒川区」が特集されたテレビ番組があると必ず観て感想の電話をかけてきます。行けそうな場所だと「アド街で観たのよ、今度連れてって〜」とか。
しかし昨年、とあるテレビ番組で『怒れる荒川区民、魂の叫び!』という荒川区特集があったとき、わたしは両親と一緒にワクワクしながら観ましたが、栄えある荒川区名物ランキング1位が日暮里のラブホテル「エーゲ海」の「全室鏡張り!」だったので、さすがの祖母も電話をかけてきませんでした。
いや、それはそれで面白かったです
でも、生まれも育ちも荒川区の方にとってはまた違うと思いますが、わたしのような国内外を渡り歩く引っ越しで出身地すら無い人間の思いからすると、荒川区については明確なランドマークやスポットがないおかげでよそものにとって居心地の良い、肩の力が抜けたフラットな雰囲気の街を作っているのかもしれないな……と勝手に考えています。
「オレの生まれた街・荒川区を知らないの!?」みたいに息巻くというよりは、「荒川区どこにあるか知らない? まああんまり何もないしねー、しょうがないよね。……でもいいところだよ」とフフフと笑う寛容さ。
生まれた土地・住んでいる場所に誇りを持ちつつも、出しゃばらない荒川区出身・在住の人のドライな空気が好きです(一概には言えないけど、たまたま会う人たちがそんなかんじでした)。
人の往来で栄えてきた歴史
また、荒川区はもともと日光街道の宿場町や都電と町工場の発展、関東大震災後の避難民の受け入れ、そして上野も近いことから人の往来と工業で栄えてきた街なので、歴史を通してよそものにオープンな土壌があるのかもしれません。おいしい飲食店が多いのもそのおかげかも。
これからどんどん開発も進み、新しい住民も増えて街が変化していくのでしょうが、昔からの住民の方々と触れ合ったときに感じる、困ったときに頼れば一肌脱いでくれて、それ以外のときは手を出さずに見守ってくれているような、サッパリとした距離感の人情味は受け継いでいけたらなあと思います。
しかし、そのサッパリ感が荒川区のエリアブランド力・認知度の低さ、つまり
ほぼ全国放送でラブホテルを名物にされてしまうような
いかんともしがたいマイナーさ
につながっているのではないかとも思っています。
荒川区よ、マイナーであれ
マイペースな荒川区が好き
23区ランキングネタでも、上からも下からも5位とか12位とか微妙な位置にいることが多い荒川区。
とはいえ荒川区のこのマイナーさのおかげで、都心へのアクセスの良さのわりに23区内では比較的リーズナブルな住まいの相場と、フラットな街ゆえの閑静さが叶っているのかもしれません。
夫とわたしの価値観だと、住む場所選びの際にこれらは大きな魅力だと考えています。
ただし東京の東側を軽んじる価値観の人がいるのも確かで、それは大手デベロッパーのマンション開発などの出遅れ感にも現れているような。
そして土地の歴史や災害リスクの点から見ても、特に区外の人にとっての荒川区のネガティブイメージは払拭できない部分もあると思います。(災害リスクについては次回の日記で書きます)
ということで住んでいて思うのは、
荒川区はもしかしたら、マイペースで合理的な性格の人間が好む街かもしれないということ。
昔ながらの住民のマイペースさと新しい住民のマイペースさが、良い具合に共存している。
そのどこかゆるくてマイナーでサッパリした雰囲気が、わたしたち夫婦にとってはとても居心地が良く感じられます。
荒川区の魅力的ではないところと思わせて魅力的なところ
・面積が小さい →いろいろギュッとしていて便利
・華やかな場所がない →閑静で住みやすい
・イメージが悪い →都心へのアクセスが良いわりに穴場
・災害が心配 →区が対策を進めている(次回の日記で詳しく書きます)
「どうして荒川区に住んでいるの?」と聞かれれば「いろいろとちょうど良いから」と答えます。
「荒川区ってどこ?」「なにがあるの?」
そんな質問を受けるたびに、あんまりなにもないけど居心地の良い、荒川区への愛しさが少し増します。
次回は「そうは言っても地価は上がってきたよ」と「物価」「荒川区の治安(犯罪、火事など)」「荒川区のここがいやだ」について書きます。